本田宗一郎氏は若い頃、一輪車に乗るのが上手だったそうです。
宗一郎氏はキャバレーなどに遊びに行く時、
一輪車を持ち込んで場を盛り上げたといいます。

氏はこの一輪車を例えにして、会社経営について語っています。
曰く、
「会社には、会社の全員が一つの列車に乗って走るような会社もあれば、
　一人々々が一輪車をこぎながら目標に向かう会社もある。
　私は一輪車の方が値打ちがあると思っています」

会社というものには様々な人間が集まって来ます。
それは色々な個性が集まるということで、
各人のその個性を発揮させなければ会社は伸びない、というのが氏の持論でした。

そして一輪車が良い理由は安定しているからだと言うのです。
一輪車が安定している？　そうほとんどの人は首を傾げることでしょう。

しかし氏はこう説明しています。

「一輪車はバックでも、その場の回転でも自由自在なんだ。
　一人々々がそれそれの一輪車にのっているから、寄り道だって簡単だ。
　会社というものは固定しちゃうことほど良くないことはないんです」

世の中には、安定しているように見えて、
実は固定してしまっている会社がたくさんある、と氏は見ていました。　

会社を取り巻く環境は常に流動しています。
固定してしまった会社はその変化に対応し切れません。
全社員が一輪車で走っている会社なら自在に対応でき、多様な変化を乗り越えていける。
その対応力こそが真の安定なんだと、宗一郎氏は言いたかったのではないでしょうか。