現場100回が、仕事における絶対原則です。

  • 追加
  • 昭和43年に発生した3億円事件といっても若い方は知らないかもしれません。
    偽白バイ警官たった一人に騙されて、銀行の現金輸送車から大金を奪い取られた事件です。
    大卒初任給が3万円強の時代ですから、現代だと約20億円に換算できるその金額と、誰一人死傷者のない鮮やかな犯行手口から、世の注目を一手に引き受けた感のある事件でした。

    しかし、思いのほか捜査が難航した警視庁は、翌年、吉展ちゃん誘拐事件など数多くの難事件を解決した名刑事を捜査主任に抜擢します。

    当時、有名になったモンタージュ写真の記憶が残っている方もあるでしょう。白ヘルメットを着けた白バイ警官風の顔写真です。
    いち早く世間に流されたので、事件の注目度にから当時の人々のほとんどが知っていた筈です。

    しかし、新任の名刑事はこのモンタージュが正確でないと早々に判断しました。これは前任の捜査官達の仕事振りを否定した事になりかねない重大事です。
    しかし、彼は独自に再捜査して、モンタージュ作成に協力した現金輸送車の4人の銀行員の証言に、見逃せない不備を発見したのです。

    例えば後部座席の一人などは、実は車の窓枠に邪魔されて犯人の顔をほとんど見る事が出来ていなかったのです。
    にも拘らず当時の調書では、4人が一様に良く似た犯人の人相を述べていたのです。

    何故この様な事態が出現したのしょうか。
    車内から雨降りの車外を見ていたとは言え、犯人の数十cmから1m内外の近距離に居た人間だから、当然皆しっかりりとした目撃記憶があるに違いないと決めつけた、捜査陣のミスだと彼は言います。
    犯人は、車に時限爆弾が仕掛けられていると停車をさせています。非常事態のそんな状況では、人の顔など覚えていろと言う方が無理です。

    また、大金を騙し取られた責任という、彼ら行員側の極限ともいえる精神状態の中、無理やりにでも何か捜査に有利な情報を提供しなければ、という意識を考慮しなかった事も捜査陣の間違いだとしています。
    つまり、現場の実況見分や目撃者からの証言聴取が、またはその分析検討が不十分だったと、彼は言っているのです。
    現場100回とは事件捜査でよく言われるセリフですが、この名刑事はこれを地道に実行しました。

    私たちの仕事についても、ともすれば頭の中や数値などの資料に基づいただけの、所謂机上の空論に陥りがちです。
    注目すべきは、現場での人の意識や行為そのものです。
    いくらITなど様々なテクノロジーが進歩しても、仕事の最初の動きは人によります。どんな優れた機器でも、その始動は人がスイッチを入れなければなりません。
    そして仕事の究極の目的は、人間の意識と行動における満足なのです。

    仕事の最初と最後が、人に対する事柄であるという事を忘れると、根本的な本末転倒になるのではないでしょうか。




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