住まいに感謝して

  • 追加
  • 住宅の解体工事に携わっていて感じる事があります。
    住んでいた人がいなくなった住宅の玄関のかぎを開けて中に入ります。

    家財道具が全て片づけられ掃除機をかけたであろうと思われるちり一つ落ちてない部屋、雑巾がけをしたであろうぴかぴかに輝いている床。住まわれていた方の住まいへの感謝の思いが伝わってきます。

    かと思うと、ちょっと前まで生活していたのではないかと思わせる足の踏み場の無い部屋。箪笥には衣類が詰まり、冷蔵庫には使いかけの調味料が散乱し、あらゆる収納スペースにものがびっしり。挙句は家族のアルバム・遺影まで置き去りにされ、不本意な引っ越しを余儀なくされたであろう。

    住まいも泣いています。住まわれていた方の無念を思います。「こんなはずではなかった。」「幸せな日々を送っていたのに」「一生懸命生きてきたのに」苦しい思いも同時に感じ取れます。

    何年か、若しくは何十年か、家族とともに過ごしたであろう住まいが今、無に帰そうとしています。子供たちの食卓を囲む歓声が聞こえてきます。お母さんのそれを諌める甲高い声が聞こえてきます。仕事で疲れた体を家族のだんらんの中で癒され明日への英気を養ってきたお父さんの姿が見えます。
    諸々の思い・声が重機のエンジン音の中にかき消されていきます。

    様々な人生模様を垣間見る思いです。自分は「数々の思い出をありがとう。」と言って去りたい。
    でも、「誰しもがそう思うのに、それが出来なかった無念」 それを感じ取れる自分自身でありたいと思います。




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