草履と下駄の形見

  • 追加
  • 名軍師・黒田官兵衛の黒田家中には、異見会という話し合いの場がありました。
    これは、地位の上下によらず家臣一同が集まって、忌憚のない意見を交換し合う事を目的とした会です。
    ここでは人と違う意見を身分に拘らず述べ、下位の者に対する上席者の報復や家中の感情的シコリなど、
    異見に絡む散会後の軋轢禁止を謳った、当時としては稀有なほど民主的な会で、
    故に「腹立たずの会」とも呼ばれました。

    今で言う極端なワンマン社長であった官兵衛の跡継ぎとして、二代目社長の長政は家中をまとめるのに苦労します。
    家中に満ちた不満に対する対策として異見会が発足したのですが、
    やがて官兵衛は異見会の様子から、主君としての長政にある危惧を感じ始めます。

    ある日、彼は息子に、自分が死んだ時の形見にと、使い古した汚い草履と下駄を片方づつ手渡しました。
    それを眺めつつ息子は黙考熟慮します。

    父「意味が解せるか?」
    息子「今は解せませぬが、父上のこと、何か深い意味がある筈です」
    父「馬鹿者。意味などないわ」

    驚く長政に官兵衛は、余計な斟酌が過ぎるという彼の過誤を指摘します。
    異見会で家臣達の意見に耳を傾けて策を決定する長政は、家臣に斟酌をし過ぎるというのです。
    それは即ち、主君としての最終決定権の放棄だと諫めます。
    主君は国を治める義務があり、全責任を負っています。
    その方策に関する決定に責任を持たなければ、結果に対する責任を負う事は出来ないと官兵衛は教えたのです。

    社内の意見を拾い上げながらも、将来方針の決定は社長が断固として行う。
    優れた創業者の跡を継ぐ、二代目社長の苦悩が正にこの辺にあるのは今も昔も変わらない様です。




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