企業の一体感を育むもの
朝礼ネタ1957 2021/01/01 コミュニケーション教育経営戦後の日本経済を牽引し、日本を世界有数の経済大国に押し上げた企業群の代表の一つ、トヨタ自動車株式会社は、バルブ崩壊以後、経済低迷の長期化、日本経済の主役交代など経済界の激変の中で、今もなお日本を代表する世界的優良企業のその座に揺るぎはありません。
トヨタのこの強さはトヨタ独特の「土着性」に起因すると、トヨタで働いた経験を持つある作家がいっています。
トヨタの本社は愛知県豊田市。
政界との繋がりや世界的な経済活動に有利である東京に拠点を移す事無く、企業の発祥地に拘る理由は、労使は勿論のこと関連企業を含む組織全体の一体感を重要視する経営思想にあります。
この一体感は企業発祥から受け継がれた伝統が基礎になる、とトヨタは考えるのです。
モノづくりのスペシャリスト養成学校であるトヨタ工業学園では、トヨタのDNAを伝える為に、トヨタの源流である創始・豊田佐吉から始まるその歴史を先ず勉強します。
モノづくりの中核になるトヨタ社員の一体感を育むのが目的です。
それ程に企業の一体感を大切にするあるエピソードがあります。
初代社長・豊田利三郎と二代目社長・豊田喜一郎の50回忌での昼食会。
約100人の参列者の席順の最前列が、血の繋がらない関連企業の代表だったのです。次にトヨタの経営者グループで、豊田家の人々は末席でした。
創業家だからといって、無暗には決して前へは出ない。
トヨタの企業グループ全体の一体感を大切にする精神がここに現れています。
企業一丸などのセリフは往々にして謳われますが、口先だけのスローガンでない本当の意味での一体感とは、こういう所に見えるものです。