この俺に理解できるようなものじゃ、それはもうダメなんじゃないの
朝礼ネタ4747 2021/07/19 名言・格言尊敬する人これは本田宗一郎氏が言った言葉です。
宗一郎氏は65歳で引退しました。
一代の英傑としてまだまだホンダを引っぱっていくことのできる年齢でしたが、
その後は全く見事に会社の経営から手を引いています。
氏が昔から嫌いなものの一つは、長老支配がもたらす弊害である老害でした。
「明治維新は若い連中が動いて革命が成った」
「時代は凄いスピードで動いている。それは大勢の若いもんの力なんだ」
「世の中、年寄りが威張って出しゃばってちゃ、ろくなことはない」などなど、
老害に対する氏の言葉が数多残っています。
しかしそんな宗一郎氏自身が、自身の老害に気が付いたことがありました。
優れたエンジニアだった氏は、エンジン冷却について空冷式に強いこだわりがありました。
本田が本格的に4輪車に参入を果たした直後、水冷式を推す若い技術者たちとの間に、
互いに譲らない対立が起こりました。
しかし空冷式ハイスペックカ―として発売されたホンダ1300の販売不振があり、
その後、厳しい排ガス規制への対応が難しいことから、
宗一郎氏は空冷式を諦める結果になりました。
氏が自身、最も嫌う老害の元凶に自らが陥りかけたことが、
相当なショックだっただろうことは想像に難くありません。
ホンダ1300の生産終了の1年後、氏は引退しています。
表題の言葉は、正に氏のその時の心境を表していると思います。
「今の若いモンは理解できん」と憤慨した時、それはもう身を引く時期なのかもしれません。