競馬のハズレ馬券は経費になるのか
朝礼ネタ2653 2021/01/01 規則・ルール趣味一時、競馬マニアの間で話題になった裁判に、「競馬配当金の脱税事件」があります。
いかにも、悪賢い人が起こしたような事件に見えますが、実態は日本の税体系を揺るがす大きな問題になりました。
裁判における争点は、「ハズレ馬券は経費か」ということでした。
競馬をしている人も気にしたことは無いと思いますが、競馬で儲けたお金は通常「一時所得」となります。
一時所得には50万円の特別控除があるため、50万円を超えた部分の利益が課税対象となります。
そして、一時所得ではその所得に直接関係した支出しか経費として認められません。
例えば、あるレースで馬券を5万円購入し、その内2万円分の馬券が的中したことで、20万円の配当を得たとします。
この場合、手取りで見ると、20万円-5万円で15万円の儲けになります。
ところが、税務上では当り馬券の購入費用しか経費として認めていないため、20万円-2万円で18万円の利益になります。
実際の被告は億単位で馬券を購入していたため、配当金は数十億円になっていました。
被告が主張したのは、『ハズレ馬券も利益を得るために使った経費だ』というものです。
最高裁判所は被告の主張を認め、ハズレ馬券も経費とされました。
つまり、競馬の利益は「雑所得」として認められたことになります。
ただし、条件があり、日々競馬のあらゆるデータを収集し、利益が出るようなシステムを構築し、継続的に購入しなければなりません。
一時所得というのは、労働や役務を伴わない所得であり、雑所得は労働や役務の対価とする所得です。
従って、競馬の開催日に競馬新聞を買って儲けた場合は、労働が伴わないため一時所得です。
ちなみに、今回の裁判は特異な例であり、現実には競馬で誰がいくら儲けたなどということは誰にもわかりません。