正しい率先垂範の在り方
朝礼ネタ1835 2021/01/01 故事ことわざ自己啓発率先垂範の率先とは人に先んじる事。つまり人の先頭に立つ事です。垂範は書いて字の如く、範を垂れるで模範を示すという意味です。
即ち人の先頭に立って物事を行い模範を示す事を表す四文字熟語です。
人がこの言葉を使う時、自分が先頭に立って何か行動を起こし、その行動を見た人がそれに共感して同じ方向に行動を起こしてくれる事を期待します。
従って率先垂範は、その言葉を自分が意識して他人の行動や意識を動かそうという意図のある事が通常でしょう。
私の住む町の町内会の話ですが、町内の公園がゴミで汚い事が問題になり、対策として立て看板やポスターで啓発する事にしました。
後日その対策を講じた次の朝、出勤途中にふと公園の中を見るとお爺さんが一人でゴミ拾いをしていました。
それから日が経つにつれ徐々にゴミ拾いをする人の数が増えて行ったのです。公園は少しづつ綺麗になっていきました。
もう一つのお話。トヨタ自動車の創始者・豊田喜一郎は技術者として仕事の虫の人でした。
試作エンジンの馬力が思うように出ずに悩んでいた時の事です。気分転換も必要だと部下と釣りに出かけました。しかし魚が釣れると喜一郎は不機嫌になるのです。
曰く「俺は釣りに来ているのではない。考えにきているんだ。魚が釣れると気が散るから釣れない所に連れて行け。」
それ程に寝ても覚めても仕事仕事という人だったそうです。
そんな喜一郎の後ろ姿を見ながら社員達が大トヨタの基礎を築いていったのです。
お爺さんにも喜一郎にも、本人達には率先垂範などという意識は全くありません。
ただただ周囲の人達が真摯な彼らの行動に感化されたのです。
これこそが正しい率先垂範の在り方ではないでしょうか。率先垂範は自らそれを意識して行うものではないと思います。
その人が率先垂範しているかどうかは、周囲の人が決める事なのではないかと私は考えます。