「みんな」「普通は」にだまされるな
朝礼ネタ1455 2021/01/01 教育社会・経済人間は「集団行動」を生存戦略として選択した、いわゆる社会的な動物です。
集団行動の最大メリットは「他者のサポートを得られること」、最大のデメリットは「他者の意見に流される事による自分の意思を貫く事の困難さ」にあると思います。
集団生活では、自分勝手な行為は戒められます。
しかし、戒め、つまり他人からの苦言の中にはあなたの利益を慮ったものではないもの、つまり苦言を発した者の利益によるものも多く存在します。
その際、苦言の説得力を高めるために使われるテクニックに「主語の拡大化」があります。
主語の拡大化とは本来「わたし」だけの者である意見を「みんな」、あるいは「他の誰か」や「世間」に置き換える行為です。
それはこのように使われています。
「俺はお前の態度が気に食わない」を「そんな態度じゃ社会でやっていけないぞ」
「俺はお前に○○させたい」を「みんな○○してるよ?」
また、会社内に限らず、デモなどでも「日本国民は」や「日本国民を代表して」と大声で自分たちの意見を主張している方もいらっしゃいます。
これは「私の利益のために私の意見に賛同しろ」といっても他者にはほぼ同意を得られないからです。
これは日本に限らずヨーロッパでも見られたもので、その中でも特に有名なのが「royal we(君主のwe)」でしょう。
これは建前上領民の代表である君主が発言をする際、己の意見が領民の総意であることを主張するために、主語を「我々」としたところから生まれた言葉です。
つまり本来は「私は○○であると考える」と言うべきところを「我々は○○であると考える」と言いかえたのです。
主語の拡大は他者が意見に反発する事を防ぎ、穏やかな強制力を発揮します。
しかし、それに安易に同意することは、他者の意見に流され、自分の意思を放棄することを意味し、非常に危険です。
「皆がやってるから」、「社会ではこうだから」等の幻に惑わされず、自分の意思をしっかりと持つことを心がけましょう。