本日は、「悪魔の代弁者」についてお話しします。

「悪魔の代弁者」とは、カトリック教会がある人を聖人として迎え入れる際に、その聖人候補を可能な限り批判する役割の人を指す言葉です。

「悪魔の代弁者」による批判が、聖人候補の功績によって最終的に論駁されることで、その人は晴れて聖人と認められることができます。

転じて、現代においても、満場一致で正しいと思われている多数派の意見や考えに対し、あえて批判や反論をする人のことを、「悪魔の代弁者」と呼ぶことがあります。

この「悪魔の代弁者」としての役割は、例えばIT系専門職や法律事務所など、同じ専門知識を前提として行動しているような、同質性の高い集団において役に立つ場合があります。

というのも、心理学者のアービング・ジャニエスによると、同質性の高い人が集まった組織では、たとえ個々の知的水準が高くとも、その意思決定の品質は著しく低下し、誰も反対しないままに愚かな決断が下されてしまうことがあるそうです。

そんな時、「悪魔の代弁者」となった人が議論に一石を投じることで、形骸化・均質化しつつあった意思決定に新鮮な風を吹き込み、正しく質の高い意思決定を蘇らせることができる可能性があります。

私も今後は、必要なときは「悪魔の代弁者」になるつもりで、多数派の意見に無批判に迎合することなく、どんな時も批判的な視点を忘れず、必要な時には勇気を出して批判するように努めたいと思います。