「工」という字の意味
朝礼ネタ572 2021/01/01 名言・格言経営
「工」という文字の語源をご存知ですか?
いろいろな説があるようですが、シャープの元副社長で戦後のシャープの発展に多大な影響を与えた佐々木正さんがその著書の中で、中国の文献を参照して述べています。いまでこそシャープは台湾の会社の傘下に入ってしまいましたが、佐々木さんはシャープのモノつくりの基礎を作った方です。
「工」の上のほうの横棒は「天の理」を表し、下のほうの横棒は「地の理」を表します。「理」とは「ことわり」とも読み、「物事の筋道」あるいは「あるべき姿」といった意味合いです。つまり「工」という文字は天と地の筋道、天と地のあるべき姿を一直線に結び付ける様子を表しているのです。あくまでも技術は人間との調和、自然界との調和の中で発展しなければならない、ということです。
モノつくりに携わる者にとって、この言葉を忘れないでおきたいものです。商品を企画する時、「面白いから」「売れそうだから」とか「お客さんが欲しているから」ということだけで企画していないでしょうか?
構想が出てきたとき、その商品は「人の心」に正しく向きあっているのか? その機能は「自然の定理」に従っているのか? そのデザインは「人の五感」にしっかり訴えているのか?
ただなんとなく良さそうだ、売れそうだ、ということだけで企画・提案をしていくのではなく、「天と地」を結び付けているか、ということを突き詰めて考えていくことが重要だと思います。
世を騒がす食品偽装、マンションの耐震偽装、自動車の燃費の問題、などなど、これらは「工」の意味を理解していないがために起こったのではないのでしょうか。
これは、何もモノつくりだけに限った話ではなく、私たちがこれから仕事をしていく上で、何らかの判断、結論を出すときには常に心に留めておきたい言葉です。