「利他の心」は「セルフ・コンパッション」から
朝礼ネタ5021 2022/04/12 心理・メンタル経営会社経営の理念の一つに「利他の心」ということが言われます。
京セラやKDDIの創業者として著名な経営者である稲盛和夫氏が大切にされている理念のお一つです。
「利他の心」とは文字通り、「利他」つまり、自分の周りや相手に対して善かれと思う心です。
稲盛さんの提唱する「利他の経営」とは、まさに自分の会社のこと、自分のことだけを中心に考えるのではなく、自分の会社が、あるいは自分が豊かになりたいと思うのであるならば、周囲の会社も人も豊かにすることを根底に考えて、自分の会社を経営すること」とされています。
今日では、会社の経営理念に、こうした基本的な考え方を取り入れて、社員の皆さんとともにその実現に向けて、経営に励まれている感謝が数多くあります。
さて、では「利他の心」、「利他の経営」を実現するために大切なこととは何でしょうか。
「企業は人なり」と言われますから、社員さんお一人お一人の心掛けがなくして実現は不可能でしょう。
企業という集団、共同体でありながら、尊重されるべきは「個」つまり「個人」にあるのです。
ここで、大切な社員の皆さんにお願いしたいことがあります。
それは「セルフ・コンパッション」という考え方の実現です。
その意味は「自分を慈しむこと、自分への思いやり」ということです。
「利他」という言葉の反意語は「利己」つまり自分に有利なように働くことですから、なぜ、利他の真逆にあるような「セルフ・コンパッション」が大切なのか、瞬時には理解しにくいと思います。
でも、よく考えてみてください。
自分を大切にすることが出来ない人、自分への思いやりがない人が、周囲の人や相手の人を大切にしたり、思いやることができるでしょうか。
具体的には、失敗しても自分を攻めない、自分に優しく、いたわることで、失敗したことを自己批判をしたりしないことです。
また、自分が完璧に出来なくても、多くの人が自分と同じように完璧ではないと認識することです。
毎日の生活の中で「私が幸せでありますように」、「私の悩み苦しみがなくなりますように」と祈ってみましょう。
それらの気持ちは「他者も幸せであってほしい」、「他者の悩み苦しみがなくなりますように」という気持ちに通じるものなのです。
自分に対するおもいやりの心が慈しみの心を養い、自分に対してはもちろんのこと、他者に対しても心地がいい温かい気持ちを育むことができるといえます。
企業の経営を支える社員の皆さんには、「セルフ・コンパッション」のことを理解してくだされば、「利他の心」に近づくことができることでしょう。