行動経済学をどのように仕事に生かすか
朝礼ネタ4818 2021/09/17 社会・経済心理・メンタルみなさんは「行動経済学」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。あまりなじみのない方も多いのではないかと思います。経済学というからには、多少数字や論理に基づいて語られるものの、実際は心理学の要素も強いです。
行動経済学分野において活発に発信しているダン・アリエリー氏の著書から、一つ例を挙げさせてもらいます。
保育所では終業時に子どもを迎えに来る時間に遅刻する保護者がいて、しばしば問題となっています。そこで、ある保育所において、これを抑止するために遅刻に対する罰金制度を導入しました。結果はどうなったでしょうか。
遅刻する保護者は減らず、むしろ遅刻の頻度が増大することになりました。これは、通常は遅刻をして関係者に迷惑をかけてはいけないという社会規範がブレーキをかけるのですが、社会規範から、「お金を払えば遅刻しても良い」という経済規範に保護者の態度が切り替わったことにより、遅刻に対する罪悪感が軽減したためだから、と考えられるそうです。
さらに注目すべきは、この後、罰金制度を廃止してもとのルールに戻しても、遅刻の頻度は悪い状態のままであったようです。すなわち、一旦人の態度を経済規範側に切り替えてしまうと、それを社会規範に基づく行動に戻すことは容易にはできないということです。
私たちが、仕事をしたり、社会生活を営むうえで、この経済規範vs社会規範という二つの態度はとても重要だと思います。
お客様からの感謝の気持ちのような、社会規範に基づいて営業するのか、それとも、価格の割引など経済規範にに基づいて営業するのか、答えのない問いですが、ビジネスは人が動かすものですから、金銭面等の経済規範だけではないことを、肝に銘じておきたいです。