「運も実力のうち」をどう解釈すますか?
朝礼ネタ4638 2021/03/30 故事ことわざ身近な法則自己啓発「運も実力のうち」をあなたはどう解釈しますか?
オートバイメーカーとして世界にその名を広めたホンダですが、
その出発は通称「バタバタ」というエンジン付き自転車でした。
終戦後、友人の店で本田宗一郎氏はあるエンジンに出会いました。
それは旧陸軍の無線機用発電機に使われていたもので、
閃いた氏は直ぐにそれをあるだけ入手しました。
氏が閃いたのは、巷の自転車にそのエンジンを載せるというアイデアでした。
湯たんぽを利用したガソリンタンクの、
賑やかなエンジン音をたてて走る原動機付き自転車は、
そのエンジン音から「バタバタ」と呼ばれて忽ち話題になりました。
戦前、エンジンのピストンリング製造会社を苦労して立ち上げた氏は、
学徒動員の女生徒でも安全簡単に扱える機械の発明や、
飛行機の木製プロペラ自動切削機考案など、その頃から発明が得意でした。
しかし終戦で全てを失った氏は、自動織機やアイス製造機の製造で糊口を凌いでました。
そんな時に出会ったのがそのエンジンでした。
それは運命でした、と言いたいところですが、
被災した工場に置き去りにされているような小汚い中古のエンジンに、
普通誰が興味を抱くでしょうか。
それに閃きを感じるのはただの運ではありません。
人が必要とするものを造る、ということを常に考えている、
技術屋としての強烈な問題意識と改革精神。
それがあればこその閃きだったと思うのです。
焼け跡に放置されていたエンジンは、多分それまで多くの人が目にしていたはずです。
しかしそれに閃きを感じたのは本田宗一郎氏だけでした。
これがただの運でしょうか。
いいえ、それはそれまでの技術屋としての生きざまによって育まれた、
つまり氏の実力に他なりません。