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プライバシーの無かった平安貴族たち

  朝礼ネタ4536  2021/01/01  社会・経済読書・書評

百人一首などには多くの恋の歌があります。その中には歌会で大勢に披露された歌や、逆に密かに送られたがあります。

子供心にも不思議だったのは、なぜ秘密の恋の秘密の歌が、1000年後の私たちのかるた競技になっているのか?ということです。

理由はズバリ、プライバシーが無かったからです。

当時の貴族たちの居住環境は学校で習った通り寝殿造です。専門書を読むと理解できるのですが見た目はともかく、実質は「体育館サイズのでっかいワンルーム」です。

しかもバストイレ無しの物件です。そこに、その棟の主人または女主人が中央部分を使用し、大勢の侍女たちが仕えているのですが彼女たちの居住エリアは棟の中心部を取り囲むように振り分けられます。広い廊下のような空間にパーテーションを置き区切るだけです。イメージは雅な避難所です。

棟の中心部分に暮らす人物はさすがに個室に近いものに入ることができます。御帳台という天蓋付きのベットです。私も再現されたものに入ってみたことがあります。たたみ2畳ほどの空間でなかなか落ち着きますが、四方は絹を垂らした几帳なので音は丸聞こえです。

常に人目があるであろうこんな環境で秘密を持つは無理です。さらに、御帳台で過ごして感じたのですが、一日中ここに籠っていたら、絶対ストレスがたまります。でも当時の女性は滅多に外出できなかった。そこでメールならぬ手紙が頻繁に交わされたわけです。

内容は今も昔も恋バナです。ある家の姫がこんな歌をもらった、すごくいい歌だからみんなに拡散しよう!となるわけです。

こんな感じで源氏物語も拡散していったそうです。遠くの時空でも案外人間は変わらないものなんだな、と思いました。

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