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研究者と企業の関係、特許の対価

  朝礼ネタ3624  2021/01/01  社会・経済

2018年に本庶佑さんが、ガンの免疫治療薬につながる研究でノーベル医学生理学賞を受賞し、日本中が湧きました。

本庶さんは研究成果を小野薬品工業と共同で特許出願しており、特許の対価について小野薬品と契約を結んでいます。

この契約に基づく対価として小野薬品は約26億円を支払うこととしています。
ところが、本庶さんは契約を結ぶ際に小野薬品からの説明が不十分であり、この額では少ないと主張しています。

開発されたガン免疫治療薬オプジーボの小野薬品の売り上げ、提携しているアメリカのブリストル・マイヤーズスクイブ社からの権利使用料、同様の薬を開発した別会社からの使用料の一部が対価になるとしています。

仮にこれらを試算すると現状で約830億円になるそうです。
26億円と830億円では差が大きすぎますね。

ちなみに、小野薬品のオプジーボの売り上げは、2017年度までで2千億円ほどあり、ブリストル・マイヤーズスクイブ社からのロイヤリティ収入は700億ほどあります。

本庶さんは、契約書にサインしているので、契約は有効で小野薬品としては困っているようです。
仮に26億円から上乗せするとしても、契約が成立している以上株主の理解が得られるのは難しいと判断しているようです。

本庶さんも契約が成立していることは十分承知しており、若手研究所を育てる基金の一部とするためにも金額のアップを切望しているようです。
日本の基礎研究が次第に低迷しつつある現状で、何とかその支えにこの対価を使いたいことと、研究者と企業のあり方を問うているようです。

同じくノーベル賞を受賞した大村智さんは、家畜用の抗規制中薬の開発に貢献し、その対価は200億円以上といわれています。
今の本庶さんと小野薬品の契約では、恐らく200億円に達することもなく少ないような気もします。

いずれにしても、契約が締結されている以上増額は難しいように思えますが、小野薬品の対応に期待です。

研究に対する対価、特許に対する対価についてある程度の指針が今回の問題で示されればと思われます。

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