四面楚歌の本当の恐ろしさ
朝礼ネタ2641 2021/01/01 故事ことわざ経営「四面楚歌」は、自分の周囲が全て敵となった絶対絶命のピンチという意味で使われています。
もちろんそんなピンチも非常につらい状態ではありますが、
この言葉の意味するところは、実はそんな単純なピンチではありません。
「四面」は周囲四方の意味と分かりますが、「楚歌」とは何なのでしょうか。
この言葉が生まれたのは紀元前202年の中国に遡ります。
楚の国の大将軍・項羽は、敵対する漢の軍に包囲されて従う将兵も食料も少なくなり、
正に四面楚歌の状態に陥ります。
ところがここで四面楚歌の言葉を使うのは早計で、本来の意味ではないのです。
ある時、項羽は、敵陣から流れてくる祖国・楚の歌、つまり「楚歌」を耳にして愕然とします。
それは敵軍に楚出身の兵士がたくさんいることを意味しており、
自分に従うべきはずの兵士が自分を見限ったことに他ならないからです。
この状態をこそが本当の「四面楚歌」というのです。
自ら率いる組織の絆が強固で健在に維持されている時、
周囲全てが敵という状況でもまだ真のピンチではありません。
何処かに活路を見出せる可能性が必ずあるはずです。
しかし組織内がバラバラでは組織力は脆弱となり、
ましてや内部に反抗する者が多数いたとしたら、
外敵によらずにその組織はいずれ自壊する道しか残っていません。
四面楚歌とは外敵はなく、組織に内在する敵に囲まれる状態だと考えるべきでしょう。
この敵はなかなか目に付かないのが普通です。
一生懸命頑張っているつもりが、ある時振り向いてみると誰も後ろに居なかった、
なんていうのは想像するだに恐ろしい光景です。