19世紀の修学旅行

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  • この間、知人からチケットをもらったので美術館に行ってきました。人が少なかったのでのんびりと眺めていると、綺麗なヴェネツィアの風景画がありました。正確で細かく描いてあるので、感心してつい「わあ、絵はがきみたい」とつぶやくと、たまたま居合わせたボランティアガイドの方から意外な言葉をかけられました。

    「まあ、その通りですよ、よくお分かりですね」と言われました。その方によれば、これらの絵はお土産用に作られたのだそうです。

    こんな何百万もしそうな絵画が?と聞くと当時は若干安かったそうで、何より需要があったのだそうです。

    中でも上得意は英国の富裕層の若者たちだったそうです。産業革命に成功し経済的に余裕のあった家の子弟は、学業の総仕上げとしてヨーロッパ大陸周遊の旅に出たのです。期間は数カ月から数年という豪華な修学旅行です。

    グランドツアーと呼ばれたこの旅で、青年とそのお付きの人々はいく先々で美術品を買い求めたのです。その中でも人気はヴェネツィアの美しい風景画でした。つまり、旅行先の絵はがき、という発想の方が後なのです。

    言われてみれば、異様に正確な描写はいかにも「ヴェネツィアに行ってきました!」感が満載でした。

    その方の解説はさらに、この絵の流転の歴史になりました。カナレットという高名な画家のこの絵は、第一次世界大戦の後、売りに出されました。この絵を買い求めた人物の孫の代だったそうです。その後何人かのコレクターの間を流れ現在の所有者の元にたどり着いたそうです。

    一枚の絵画にも色んなことが詰まっているんだなと、感じました。何よりキーホルダーくらいしか買えなかった、自分の修学旅行と比べるとなんとも奇妙な体験でした。




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