逆耳払心という言葉
朝礼ネタ1370 2021/01/01 故事ことわざ中国の古典「菜根譚」という本の中に、「逆耳払心」とも略される説話が出てきます。
最初、私はこの四文字を口に出して読んでみても、その意味がきちんと把握できませんでした。ですが、その解説を読んでみるととても腑に落ちてしっかりと納得できましたので、ぜひ皆さんにも知っていただこうと、この「逆耳払心」という言葉についてご紹介したいと思います。
まずこの言葉の前半、「逆耳」という部分について。
解説によるとこの部分は文字通り「自分の耳に逆らう言葉」、「あまり自分が聞きたくないこと」を意味するようです。すなわち「他人からの忠告」を意味します。
もっと具体的な例で考えてみましょう。
例えば、私の仕事のやり方が他の同僚から見るとあまり効率が良くないように見える。
なので、気付いた同僚はまったくの親切心から「こうしたほうが早いよ、便利だよ」と私に助言してくれたとします。すると、その助言を受けた私は何を考えるでしょうか。
もちろん善意でしてくれたことでしょうから、ありがたいとは思うはずです。ですがもしかしたら、心の片隅ではその言葉を嫌味混じりと受け取って、「うるさいことを言われたなあ」と思ったりしてしまうかもしれません。
ここで言葉の後半、「払心」の部分を考えてみます。
これも解説によると、その意味は「思うようにいかないこと」とあります。つまり私が嫌だなと考えてしまったこと、その考え自体をこの言葉はきちんと先回ってくれているのです。
そしてその上で逆耳払心という説話はこう続きます。「しかし、その思うようにいかない事柄にきちんと対応することで自分自身が磨かれる」と。
先の例で言えば、同僚からの助言は言わば「あなたは間違っている」と言われているようなものですから、確かに耳が痛いです。
しかしそれをただ気に食わないとして受け入れないのではなく、耳が痛いと感じつつもきちんと誠実に対応する。
例えば助言された通りのやり方で一度仕事をしてみるなど、辛抱強く、また柔軟な頭でもって目の前の仕事に関わっていくべきではないでしょうか。
これは理屈はわかっていても、意外に実践が難しいことです。ですがまずは少しずつでも始めていきましょう。
私もこの言葉を日々心がけて職務に励みたいと思います。