知識は能力ではありません
朝礼ネタ5850 2024/06/01 ビジネス名言・格言尊敬する人「多くの戦史兵書を熟読し、その上よくよく熟考考察して各々が得た兵理は、百回の講座で聞いてただ暗記しただけのものに比べて、はるかに良いものである。己が研究で会得したものでなければ戦場で役に立たない。」
これは、日露戦争日本海海戦で活躍した海軍名参謀の秋山真之(さねゆき)の言葉です。
彼は海軍大学で教官だった時期があり、常に生徒たちにそう言いきかしていたといいます。
海軍大学とは部隊の指揮をとる将官を育てる学校です。その将官とは戦闘における単なる現場指揮だけではなく、行く末は大部隊の戦術から、
高度な戦略までを担うことを責務とする軍人です。
戦場での状況は時々刻々千変万化するもので、その中で自らの判断によって全部隊の行動を司らねばならず、全て自身で考え決断しなければなりません。
つまり最も大切なのは知識の蓄積ではなく自分の頭で考えることなのです。だから秋山は考える事を奨励しました。
本や講義から得る知識は考える為の単なる材料でしかありません。ですからこの量が多いほど良いのは勿論ですが、しかし単に知っているだけでは現場では役に立たず、
この材料を揉みに揉み、練りに練ってオリジナルの体系を形作る事が必要です。
そして最も大切なのは、その過程で自分の頭を使って何かしらの結論を出す、という作業を覚える事なのです。それが真に役立つ能力です。
巷にはノウハウ本が溢れていますが、誰が何をどうしたとこうしたとかをいくら知っていても、全く役に立たないと言う事です。
現実の場面で何をどうすれば良いのかを見つけるためには、自分の頭の中にある知識をフル動員して、自分の頭を絞り上げる事を繰り返し、適切な結論を導き出す方法を体得しなければなりません。それが本当の能力です。
知識は能力ではありません。