誤用されやすい言葉はよい方向に受け取る
朝礼ネタ5071 2022/06/02 名言・格言私たちが使い分け自由に操っているさまざまな言葉は、育っていく過程で学び、社会で身につけていますが、あまりの多さに間違ってしまうこともあります。
周囲に誤用している人がいたら、「知識と教養がない」とけなすより、誉める要素に変えてみるなど、よい方向に受け取りたいものです。
正しく理解した上で使っているのか気になる言葉がよく聞く「一期一会」です。
この言葉の意味を知っているのか尋ねてみると、多数の方が「人生に1度しか会わない」と答えます。
トム・ハンクスが主演した映画「フォレスト・ガンプ」の副題に使われ知れ渡った「一期一会」の由来は茶の名手千利休です。
織田信長や豊臣秀吉の茶頭として仕えた千利休は「この機会は一生に1度だけかもしれない。徹底的にもてなせ」と立派な茶室を備えた千家流の祖です。
戦国時代の世の中、もてなした人が戦で亡くなってしまうかもしれず、「徹底的にもてなせ」という心意気や所作を見せています。
多数の方が答えている「一生に1度しか会わない」より前面にあるのは、徹底的にもてなすことです。
由来と意味を知っている私は、「一期一会」の言葉が使われていると、批判的になってしまいます。
毎週土曜日と日曜日に出かけている、秋葉原の専門店の中古品売り場に陳列されていた、掘り出し物のノートPCに「一期一会」と大きく書かれたパネルが立てかけてありました。
「一期一会」の言葉の意味や由来を知った上で使っているのか、気になってしまいました。 しかし、刀を持った武士のシルエットも書かれており、きちんと理解していそうな人が作成したのでしょう。
購入の相談の客を追いかけている店員さんに、「一期一会」の意味を知っているのか、意地悪な質問をしてみました。
すると、予想通り「知らない」と答えた店員さんに、茶の名手千利休が由来であることと意味を話しました。
「一生に1度しか会わない」と答えるのは、よくありがちなことを話しました。
さらに、いつも徹底的にもてなし、よい買い物のお手伝いをしてくれているので、意味を完璧に理解した上で使い、体現できていることも話しお礼を込めました。
「誤用している」と批判するつもりが、日頃のお礼の言葉になってしまいました。
私たちが使いこなしている漢字やひらがな、カタカナに文学や歴史が加わると、誤用しやすいいくつかの言葉があります。
受験勉強やスポーツの応援のとき、「必勝」と書かれた鉢巻きをつけている光景をよく見かけます。
「必勝」ではなく「必笑」と書くと笑われそうですが、「必ず勝って笑おう」と祈願しているかもしれません。
もし「一期一会」の由来や意味を知らずに使っていたら批判せず、「いつもありがとうございます」と徹底的にもてなす心意気のお礼の言葉に変えてみましょう。