お弁当には「真心がこもっている」とより一層感じた
朝礼ネタ4690 2021/05/22 家族・ペット健康1食分の食糧を持ち運べる便利さがあるお弁当は、私にとって幼稚園や小学校の遠足や運動会のために、母が作ってくれた特別感があります。高校生のときには、毎日の朝食作りと同時進行で昼食のお弁当を準備してくれたことを思い出します。
最近では、新型コロナウイルスによる休業や時短営業の影響から生き残るために、さまざまな飲食店でテイクアウトが可能です。
20代のノーメイクやナチュラルメイクの女性と、1品500円ほどの手料理とアルコール類で飲食しながら、会話を楽しむ“すっぴんカフェバー”がテイクアウトを始めました。
言語に障害があり、身体の動きがスムーズではない私が「楽しめない」と思い遠慮していましたが、”すっぴんカフェバー”のテイクアウトを知ったとき真似したくなりました。
新型コロナウイルス専門病棟に勤務する看護師の妻は「20代のすっぴん」と言えず、真逆を突き進んでいます。現在別居中のそんな妻と久しぶりに会えることになったとき、私は「“すっぴんカフェバー”の真似ができそう」と期待しました。
どこでどのくらいの時間会えるのかを勘案した私は、ファミレスのテーブルで、100円ショップで買ったチョコレートやスナック菓子をお弁当箱に詰めてもらう準備をしました。詰めきれないお菓子は、持ち帰ってもらうように蓋つきのボールも準備しました。
待ちに待った妻との食事の日、私が真っ先に口にした「お弁当作って」の言葉に、妻は驚いた顔をしていました。
10年近く1度も使っていない空の弁当箱と、お弁当のおかずに見立てるために準備したお菓子が入ったレジ袋を、私はバッグから取り出しました。さらに、「このご時世で食品を取り扱うとウイルス感染のリスクがある。安心してほしい」と食品衛生責任者の手帳と私の名前を書いたプレートも取り出しました。
ファミレスのテーブルが「あっ」という間に厨房に変身すると、私は銀色のペイントマーカーでお弁当箱の蓋に簡単なメッセージと日付を書いてもらいました。白米の代わりにポップコーン、おかずの彩りの代わりにマーブルチョコレート、隙間にスナック菓子など、妻のセンスに任せたお菓子を詰めたお弁当ができ上がりました。1度も使わず捨てようか迷っていたほどの不用品扱いだったお弁当箱が、何物にも代え難い宝物に生まれ変わった瞬間でした。
新型コロナウイルスにより平穏無事な生活ができない中、5年の結婚生活が経過した私が、苦肉の策を講じた初めてのお弁当がこんな形になりました。
白米や唐揚げなどの肉類のおかずがあるべきと思いがちですが、お菓子が詰まったお弁当に、別居中の妻のエールを感じました。
翌日、「お弁当を食べてほしい」と妻からメールがあり、私がぺろりと平らげてしまったほど重宝したお弁当に入っていた「スナック菓子のソース系の香りが最高」と返信しました。もしも数か月後に会えるなら、またお弁当を作ってもらいたいです。