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お江戸版 悪貨は良貨を駆逐する

  朝礼ネタ4561  2021/01/17  社会・経済

悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、日本の江戸時代にこんな事があったそうです。

六代将軍家宣の時、財政難から金貨銀貨の貴金属の比率を下げた事がありました。この時江戸城大奥に、江島という大奥総取締の才女がいました。

男子禁制の大奥ですがいくつかの例外があったそうで、その1つに「花祭り」がありました。お釈迦様の生まれたという日の行事で、甘茶を満たした大きな盆に小さな仏像を据えて、その周囲は花を葺いた屋根で飾る美しいものでした。

そしてこの臨時のお堂に、大奥のすべての人々がお参りし、お賽銭をあげるのです。しかし総員千人を超える大所帯の為、お賽銭を置く大きめの三方はすぐにいっぱいになるので日に三度四度と交換したそうです。実はこの花のお堂のお賽銭は、これを製作した部署、「伊賀者」の収入になるので言わばボーナスでした。

問題はここからです。

大奥の女性たちがお賽銭として出した貨幣が「伊賀者」たちを驚かせたのです。大奥の貨幣は従来の規格の「良貨」で自分たちの使っている貨幣と全く別物だったからです。

外で大騒ぎになっていると聞いた江島は、外の貨幣と交換させてみました。そして、錫などの多い「悪貨」を見て告発させたのです。ここまで手の込んだ隠蔽をしていたという事は、抜いた金銀を横領している可能性が高いと見たのです。首謀者の勘定奉行、荻原重秀は26万両の不正蓄財がバレて失職しました。

この話には前段があり、五代将軍綱吉の頃の大奥総取締に、右衛門佐という人物がいて、劣悪な貨幣を見て柳沢吉保に談判し方針転換させた事があったのです。

時は元禄、建築バブルが終わり、幕府の財政難が深刻化していた時です。この時から荻原重秀は貨幣改鋳に関わっていたので、大奥の目と口を閉じさせようとした事が裏目に出たのです。

時代劇でおなじみの大奥ですが、意外にも歴史を動かしていたんだな、と思いました。

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