ノーベル賞受賞者の山中先生が大切にしている言葉
朝礼ネタ4490 2021/01/01 尊敬する人みなさんは山中伸弥先生をご存じかと思います。山中先生はiPS細胞の研究が評価されて、ノーベル生理学医学賞を受賞されたことは知っていらっしゃると思います。
では山中先生のモットーをご存じでしょうか。山中先生の人生を変えたといっても過言ではないその言葉について紹介させていただきます。山中先生はiPS細胞の研究を始める前にアメリカのグラッドストーン研究所のマーレー先生の研究室に留学された経験があります。
マーレー先生がある時、山中先生含め若い研究者を集めて、「研究者として成功するための秘訣を教えてあげよう。それはVWだ」とおっしゃいました。マーレー先生はフォルクスワーゲンの車に乗っていました。山中先生は日本車をずっと乗っており、その時点でVWはダメだと思ったそうです。
実際には車の話ではなく。VWとは「vision and work hardだ」。そして、Visionの「V」と、Work hardの「W」、この2つを守れば、研究者として、人間として大丈夫だと話されました。
同時に、「伸弥、君はものすごくワーク・ハードしているのはよく分かっている。でもビジョンは何だ」と聞かれ、山中先生は「妻子を連れてアメリカに来ているのは、いい研究をして、論文をいっぱい書いて、研究費をいっぱい貰って偉くなりたいからです。教授になりたいんです」とすぐ答えました。
そうするとマーレー先生は、「何言っているんだ、伸弥。それはビジョンじゃない。偉くなるのも、研究費をいっぱい貰うのも、ビジョンを達成するための手段だろう。本当のビジョンは何だ、なぜ医師を辞めたんだ。どうしてアメリカまで来て研究してるんだ」と。
そこまで問い詰められてようやく思い出しました。自分がなぜ数年前に臨床医を辞めて研究者になったのか、それは先ほど述べましたように、父のような、いまの医学では治せない患者さんがたくさんいる。そういう人たちを治せるとしたら、それは研究です。だから研究者になった。
ものすごく単純明快で大切なビジョンを、たかが数年で忘れてしまった自分にびっくりされたようですが、先生の言葉で理由を思い出すことができましたと話をされています。
日本人は勤勉であると世界から評価されています。一方で効率化やコストカットにより目の前の仕事に忙殺され大切なビジョンを忘れてはいないでしょうか。目の前の仕事が社会にどのように役に立っているのか、社会をどのように変えたいかあらためて考えて仕事に臨んでみましょう。