伊達政宗の現実的な五常訓
朝礼ネタ4390 2021/01/01 名言・格言尊敬する人仁・義・礼・智・信は、儒教において人の正しい在り方を教える五つの徳です。
すなわち、
仁とは人に対する思い遣りや優しさ、
義とは正義の心、
礼とは礼儀礼節、
智とは知恵叡智、
信とは人を信じる心、
を意味しています。
これは人が真っ当な人たるために全ての人が習得すべきものですが、
特に人の上に立つリーダーには不可欠になります。
戦国の世に生まれ多くの家臣団を引き連れて、奥羽の覇者にもならんとした伊達政宗が、
伊達家当主としてこの五徳を強く意識していたことは想像に難くありません。
しかし実は政宗はその晩年に、五常訓としてこう言い残しています。
仁に過ぎれば弱くなる。
義に過ぎれば硬くなる。
礼に過ぎればへつらいとなる。
智に過ぎれば嘘をつく。
真に過ぎれば損をする。
つまり
優しさは過ぎると弱さであり、
正義だけでは世の中は渡れない。
また礼儀礼節ばかりを重んじると慇懃無礼か嫌味か追従になり、
自分の知識や経験が他に勝るという奢りは判断を誤る元となり、
闇雲に他を信用するのはただの馬鹿である、
と彼は説くのです。
政宗は生きるか死ぬかの戦国の世を生き抜き、徳川二代将軍秀忠に重用され、
三代将軍家光から「伊達の爺い」と敬われさえしました。
彼は指導者として五徳の大切さを十分に理解した上で、
現実の世界でのし上がっていく過程で、単なる理想の奇麗ごとだけではない、
現実的な五徳を体得していたのではないでしょうか。
それは過ぎたるは及ばざるが如しといった消極的なものではなく、
偏りなく見事にバランスの取れた、最高レベルの五徳なのだと思います。