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虚実のはざまから読む源氏物語

  朝礼ネタ2651  2021/01/01  趣味

日本で作者の確定している、最古のフィクションをご存知でしょうか?

正解は、源氏物語です。

この中に出てくる会話に、光源氏のこんなセリフがあります。

「正史(日本書記などの公式の歴史書)なんて、うわべの事。これら(物語や小説)の中にこそ道理にかなった詳しい事情があるものですよ」

紫式部が執筆していた当時、小説とは婦女子の読むサブカルチャーの扱いでした。この源氏物語によってその地位が一気に向上したのです。

とは言え、この言葉は刺激的です。物語に中で光源氏はすべての学問に精通した文人として描かれています。また当時の帝、一条天皇は漢学に秀でた人物で、作者の紫式部を日本書紀に精通した人物であろう、と称賛しています。

実は源氏物語は、意図的に現実を一部リンクさせているのです。設定は一条天皇から50~100年前の醍醐、村上天皇の時代です。行われている行事や内裏の描写からそれらははっきりフィクションだとわかったはずです。少なくとも紫式部の時代の人々には、ですが。

一方で現実も登場します。紫式部の主人、中宮彰子の御殿は藤壺ですし、ライバル清少納言の主人の定子は弘徽殿。彰子の生んだ後一条天皇の中宮は帝より11歳年上の彰子の妹の威子ですが、これは物語の中の冷泉帝と秋好中宮と同じ年齢差です。

紫式部が描きたかったものは、ただ優雅な愉快な物語ではなかったようです。主人公の光源氏に対してもかなり辛辣に描かれています。読んでいて感じるのは甘いオブラートに包まれた苦い薬。

当時一流の文人の家系に生まれながら、女だから身についた学識も活かせない。その鬱屈した思いがこの大作を生んだのでしょう。紫式部日記からも鋭い美意識と冷静な批判精神が滲んでいます。

甘いフィクションの中に織り込まれた辛辣な視線。政争、陰謀、報復も実にリアルに描かれています。視点を変えて見直すと、なかなかスリリングなピカレスクロマンです。

一読をお勧めします。

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