お先棒を担いではいけません
朝礼ネタ2548 2021/01/01 故事ことわざ「お先棒を担ぐ」という言葉があります。この先棒とは何でしょう。
今ならタクシー、少し前なら人力車のそのまた以前の駕籠は、1本の担い棒で前後二人の人が担いでいました。
駕籠に限らず土木工事のモッコや昔の棺桶なども同様に、担い棒を前後二人で担いで運んでいましたが、
この担い棒の前側に突き出している部分が、この先棒のことです。
駕籠の進行方向の前の人が先棒を担ぐことから、
ある人が仕事などで先頭に立って働くことを「お先棒を担ぐ」と表現するのだそうです。
こう解説していくとこの言葉はとても良い意味合いに聞こえますが、実は決してそうではありません。
広辞苑で調べると、
「人の手先として軽々しく行動する。権力を持つ人などにへつらって、その手先となって働く」
となっていて、かなり悪い意味を表現する場合の言葉なのです。
駕籠に由来している同じ様な言葉に「片棒を担ぐ」というのもありますが、
どういうわけかこの場合も良い意味では使われていません。
不思議に思って調べてみましたが、いまのところ理由は分かりません。
とにかくこの言葉の使い方を間違うと、
場合によってはちょっと困ったことになりかねませんから注意して下さい。
「君、期待しているからね」と社長に嬉しい言葉をかけられて、
「はい、しっかりと社長のお先棒を担ぎたいと思います」
などと張り切って返事をしないようにしましょう。
「ん?思いの外この男は信用ならんかもしれん」と、途端に社長の評価が変わる可能性が大です。