「全然大丈夫」「やばい美味しい」は誤用ではありません
朝礼ネタ2061 2021/01/01 故事ことわざマナー教育「全然」という言葉のあとには、必ずと言って良いほど、「~ない」の形で全否定を表す文法が、とりわけ第二次世界大戦後の現代語でもっとも一般的な用法とされてきました。これは、日本語の専門家であったり、研究をしている方でなくとも、ごく普通の感覚でも当たり前のように思えることですが、最近は若者を中心として「全然大丈夫」などといった、肯定的な意味で使われることが増えてきていることが注目に値します。
夏目漱石も「全然」を否定を伴わず使っていた
この事自体を間違った日本語であると指摘する声があることも事実ですが、じつは昔は「全然+肯定」の表現が普通に使われていたようです。
明治から昭和戦前にかけて、「全然」は否定にも肯定にも用いられてきたことがあり、あの夏目漱石でさえも「全然」を否定を伴わず使っていたという文献が残っているのです。
また、「やばい」という言葉も江戸時代の作家十返舎一九の作品にも見られるように、当時から当たり前のように使われていたものと思われます。当時は、いわゆる「危険である、危ない」という意味で使用がされていたようですが、最近の若者は「とても」のような意味合いでむしろ肯定的な意味で使う人が少なくありません。
とある老舗の飲食店で、若者が「やばい、やばい」と連呼しているので、食材に不備や問題があったのかと心配になった店主が、尋ねてみたところ、「やばいくらい美味しい」ということであったとの笑い話もあるほどです。
日本語だけに限らず言語のすべてに言えることですが、時代とともに用法が変わっていくことは当然の帰結であり、だからこそ言語が生き物であると言われる由縁になっているのではないかと思いました。
今後は、間違いを指摘する前には、ググってみようと思いました。