一見(いちげん)さんお断りの真の目的をしっていますか?
朝礼ネタ1710 2021/01/01 故事ことわざ自己啓発京都の花街のお茶屋さんは一見(いちげん)さんお断り、とはよく聞く話です。
私は、なんてお高くとまった客商売なんだろうと、あまり良いイメージはありませんでした。もっと言えば、上級の客しか利用できない如何にも高級な店にする事で高価な利用料をとっている、本音で言ってしまうとぼったくりの店なんだ、位にしか見ていませんでした。
でもこれは無知な私の誠に失礼な思い込みでした。お茶屋の女将さん、御免なさい。
元々は、最高のおもてなしを長年追求してきた結果出来上がった、接客の極意とも言えるお店の一つの形態だったです。
例えば、ある客が来店する時、お茶屋の女将は料理の仕出し屋にその客の嫌いな食べ物を除き、その分、好みの食べ物を入れる様に具体的に料理の内容まで指図します。
また、客本人への気配りばかりか、その客の妻の誕生日にはそれとなく誕生祝の品を用意したり、受験前の子供に天神さんのお守りを渡したりするのです。
それ程の行き届いたおもてなしを考えると、突然訪れた一見さんでは対応が出来ないという訳です。それは接待の仕方という表面の形を重んじているのではありません。奥底から滲み出る、客と女将との信頼の体現なのです。
だから支払いをその場でお茶屋が請求する様な無粋な事はしません。タクシー代や、他店の二次会の支払いまでお茶屋が立て替えする事もあります。この後払いの信用売りも互いの信頼の証です。
この話を知った時、私は驚き、心底納得し、浅はかな我が見識を恥ずかしく思いました。物事には表面だけでは思いもよらない奥底の真実があるのですね。
人は見かけによらないもの、事の表面(おもてづら)に騙されるな、などとは分かっちゃいるけどややもすればそんな風に流されている自分があります。見識を高めて人や物事の本筋を見分ける眼力を持ちたいものです。