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花のお江戸の結婚事情

  朝礼ネタ4373  2021/01/01  社会・経済

私たちにとって最も親しみやすい歴史上の時代といえば、江戸時代でしょう。何と言っても時代劇で描かれるのは江戸時代がほとんどだからどうしても印象に残ります。

さてその江戸時代ですが、知っているつもりでも実は驚きが満載です。

たとえば、三行半、とは男が一方的に妻と離婚できる制度と思われていましたが、少なくとも花のお江戸では真逆でした。

一般的に町方では、結納の時に婿側が嫁側に結納品の一部として差し出すものでした。これはつまり「この男が嫌だと思ったら、いつでもこの三行半を持って離婚していいです」という趣旨のものだったのです。

この三行半とは、男の側が書く体裁のものでしたので男が書きますが、行使する権利は妻の側にあったというわけです。

さらに内容を吟味するとその実態が見えやすいのです。決まり文句を現代語で言えば「この女〇〇は、私△▲とは縁が無くて離婚しますが、今後どのようなところに嫁いでもまったく問題ありません。」となります。

実は江戸とは、干潟を開拓し埋め立てて作られた都市ですので、作業の関係から圧倒的に男が多い人口構造になっており、そのために慢性的な嫁不足でした。吉原の盛況もこれが一因でした。

つまり女は離婚してもいくらでも次の嫁ぎ先があったのです。
加えて、駆け込み寺の制度もありました。現代で言うところのDVから逃れようとする女性を守る制度で、女が東慶寺などの所定の寺に駆け込む、あるいは持ち物を投げ込むことに成功すれば寺の保護下に入り、三行半無しでも離婚成立です。

ひどい亭主に泣かされヨヨヨと泣きくずれる、そんな女ばかりではなかったと言うことです。

固定観念の外には意外な世界が広がっています。資料の読み込みから意外な事実が浮かび上がるというのは、歴史以外の分野も同じです。目の前仕事を時には別の角度から眺めれば何か発見できるかもしれません。

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