貸主が死亡した場合に借金は誰に返済するのか
朝礼ネタ2685 2021/01/01 規則・ルール知人や友人などからお金を貸してもらった後、病気や事故などで貸主が亡くなるということが起こり得ます。
貸主が死亡したからといって、借金の返済義務が無くなるなどということはありません。
貸主の相続人が借主に対する返済請求の債権を相続するため、今後は貸主の相続人に対して借金を返済していきます。
なお、金銭債権は分割のできる債権であるため、相続人が複数いた場合は各相続人が法定相続分に応じて分割取得します
例えば、200万円を貸していた被相続人(貸主)が死亡し、妻と2人の子どもが相続人だったとします。
その場合は、妻が100万円、子どもがそれぞれ50万円ずつを借主に返済請求できることになります。
ちなみに、遺産相続は相続人全員の合意があれば、法定相続割合を自由に変更することができます。
従って、200万円の金銭債権をすべて妻が相続することも可能です。
なお、個々の相続人が保有債権額の請求をしてきた場合、その債権分の金額を当該相続人に支払えば、その分についての債務は当然無くなります。
ところで、被相続人である貸主に莫大な借金があったため、相続人全員が全ての相続を放棄した場合、借金を返済する相手がいなくなります。
従って、返済義務は消滅します、とはなりません。
この場合は民法の規定によって「相続財産法人」が設立されます。
そして、家庭裁判所で選任された相続財産管理人が被相続人が保有していた金銭債権の取立や清算を行い、回収したお金を被相続人の債権者へ分配します。
従って、借金は相続財産管理人に返済することになります。
借金が帳消しになるなどと言うことはありません。