「柔能く剛を制す」の本当の意味
朝礼ネタ2464 2021/01/01 故事ことわざ「柔能く剛を制す」という諺は、「三略」という古代中国の兵法書、
いわば戦い方の虎の巻の書かれている一節で、この後には「弱能く強を制す」とあり、
さらに「柔は徳なり、剛は賊なり。弱は人の助くる所、強は人の攻むる所なり。」と続きます。
その謂わんとするところは、
「柔軟で弱い人こそ剛強な者を制することができる。
なぜなら柔は包み込む徳、剛は人を破壊する悪の力であり、
弱者は人の助けを呼び、強者は人の攻めを呼び込むからだ。」
ということです。
あれ?何だか軟弱な方が良いと言っているように思えますが、肝心なのはこれからです。
その後の文を現代語に訳すと、
「柔剛弱強はそれぞれ使える所があり、この四つを兼ね備えることが一番よいのである」
というのです。
そして最後には
「柔であり剛であるなら国はさらに光り、弱であり強であるなら国はさらに頭角を現す。
ただ柔であり弱であるだけなら国は必ず減退し、ただ剛であり強だけなら国は必ず滅ぶ」
と締め括られています。
ここまで来るとやっとこの諺の本当の意味が判明します。
柔和で弱々しいだけでは尻すぼみ必至だけど、
でもだからといって剛強に必ずしも負けるとは限らない。
剛強のパワーは確かに必要だが、だからといって常に勝つとも限らない。
この四つの要素を併せ持ち、適宜適時適正に使い分けることこそ常勝の秘訣であると説いているのです。
「柔能く剛を制す」では一面の真理でしかなく、さらに奥深い意味が後ろに控えていたのですね。