現代の三十六計~「順手牽羊(じゅんしゅけんよう)」~
朝礼ネタ1465 2021/01/01 故事ことわざ皆さん「三十六計逃げるにしかず」と言う言葉を一度はお聞きになった事があるはずです。
これは「ピンチに陥った際はあれこれと計略をめぐらせるよりも、一刻も早く逃げるべきだ」と言う意味ですが、この三十六計がどういったものであるかはご存じない方も多いのではないでしょうか?
三十六計は正式名称を「兵法三十六計」5世紀の中国の武将「檀道済(だんどうせい)」の記した兵法書です。
中国には「孫子」という有名な兵法書が存在し、「兵法三十六計」はよく混同されますが、全くの別物です。
「兵法三十六計」は、その名のとおり、36種類の戦術を紹介していますが、それらは平和な現代日本でも十分に活用できるものです。
今回はその中から「順手牽羊(じゅんしゅけんよう)」を紹介したいと思います。
「順手牽羊」を書き下し文にすると「手に順(したが)って羊を牽(ひ)く」、つまり、「相手に悟られないように、羊1匹程度の損害(小さな損害)を細かく与え続ける」と言う意味ですが、私は「細かい損害や利益を軽視することのの危険性」も示しているのではないかと考えています。
これは、ある男が羊の群れか1匹だけ羊を盗み出した際に、あまりに堂々とした態度に周囲は違和感を覚えず、男の犯行に気付く事ができなかったという故事を基にしています。
この計略は自分が相手よりやや優位な状況に置いて効果を発揮します。
当然現代において他人に危害を加えることは容認されていませんが、「小さな利益、損害を軽んじない」ことは、現代でも非常に重要です。
小さな事柄にこだわりすぎることも考え物ですが、塵も積もれば山となるという言葉のとおり、小さなチャンスや利益、落とし穴を見落とさないようにしたいものです。