社会の一員として働く幸せ
朝礼ネタ1129 2021/01/01 社会・経済3
全国にいわゆる障がい者と呼ばれる方は700万人以上いらっしゃいます。これはあくまでも障がい者手帳を取得されている方の数字で潜在的にはもっといらっしゃる可能性があります。その中で実際に仕事をされている方は1割にも満たないそうです。
障がい者さんを企業が受け入れる法定雇用率は現在2%です。つまり50人従業員がいる企業なら1名、100人なら2名、1,000人なら20名ですね。そんな中で従業員76人中56人が障がい者さんという企業があります。実に7割以上が障がい者さんなんですね。東京にある日本理化学工業所というチョークを作っている会社です。
きっかけは57年前に特別支援学校の女生徒2名の実習を受け入れたことでした。当時就職できない障がい者さんは福祉施設に入って生涯を過ごさなくてはならず、せめて一生に1度でも働く経験をさせてあげたいと考えた支援学校の教諭が日本理化学工業所に頼み込んで2週間の実習が実現しました。
作業はチョークの箱のラベル貼りだったのですが、その作業を楽しそうに一生懸命されている2人の女生徒を見て、実習の終わる直前に他の健常者の従業員たちから、このまま15歳で親元を離れて施設に入るのはかわいそうです。自分たちが面倒を見ますから雇ってあげてくださいと言われ、最初は同情から雇用をはじめたそうです。
雇用主である大山会長は会社であくせく働くよりも施設でのんびりした方がよさそうなものだと不思議に思われていたのですが、あるとき禅寺の和尚さんにその疑問を問いかけたところ「人間の究極の幸せは人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされることの4つ。そのうち後の3つは働くことで得られる物です。福祉施設では味わえません」と言われました。
それ以降、日本理化学工業所は障がい者さんの大量雇用に踏み切ったということですが、中小企業だったからこそできたともおっしゃっています。
人間の究極の幸せは健常者も同じです。このエピソードは働くことは幸せなことなんだと教えられます。逆に感謝すること、ほめることで人を幸せにできるということでもあります。
すべての人が普通に暮らせる社会で大事なことを忘れずに生きたいと思います。