走行中にバッテリーを充電できる“電気道路”
朝礼ネタ3379 2021/01/01 技術職(機械・電気)日本だけではなく、世界でもここ数年で自動車産業は大きな変化を遂げました。
内燃機関のエンジンと、電動機のモーターを使い分けるエネルギー効率を高めたハイブリット車や、エンジンの代わりに電気で動くモーターが搭載された電気自動車が登場しました。
ハイブリッド自動車のシリーズ式は、エンジンが発電だけに使われ、モーターだけがタイヤを動かす動力源になるため、低中速走行は有利ですが、高速走行は不利です。
パラレル式は、エンジンとモーターを併用します。しかし、モーターが発電機の役割も果たしているため、モーターか発電機のどちらか一方の働きしかできません。走行するとき電気があればモーターとしてエンジンを助けられますが、電気が無くなると発電機として充電が開始され、動力源がエンジンだけになります。
シリーズパラレル式は、1つずつエンジンとモーター、発電機が搭載されています。
常にモーターが使われ、モーターだけ、モーターとエンジンなど、走行環境によって最適な組み合わせで走行します。充電しながら走行できる最も低燃費な車です。
電気を蓄えるバッテリーと、タイヤを動かすモーター、モーターを制御するコントローラーで構成されている電気自動車にはメリットがあります。
地球温暖化の原因とされている二酸化炭素と、大気汚染物質が含まれている排気ガスの排出がゼロのため地球環境に優しいです。
ガソリンを必要とせず、必要なのは充電に係る電気代だけであり、とても経済的です。電気の使用量が減少し料金が割安になる深夜に充電すると、電気代が安く抑えられます。
電気モーターは、加速に必要な車体を動かす力“トルク”をすぐ最大出せるため加速が早いうえ、振動や騒音が少なく無音で加速するため、走行中の静粛性がとても高いです。
一方、バッテリーの充電に必要な時間が最短でも40分ほどかかるなどのデメリットもあります。フル充電すると、8~16時間ほどかかります。 航続距離がガソリン車に比べとても短く、充電回数が増えてしまうにもかかわらず、充電スタンドの数が少ないです。
電気自動車のデメリットが解決する走行中にバッテリーを充電できる“電気道路”が、世界で初めてスウェーデンのストックホルム近郊に開通しました。
送電網と接続したレールが敷設されている“電気道路”は、電気自動車に装着した可動式アームがレールと接触すると、バッテリーが充電される仕組みになっています。レールが作動するのは走行中だけのため、電気自動車が止まると自動的に電流も停止します。
“電気道路”の利点は、既存の道路に短時間、低コストで導入できるうえ、自動車だけではなくバスやトラックなどの大型車まで活用できることです。
さまざまな天候や交通状況の下、今後スウェーデンでは、電気トラックに往来させ、“電気道路”を試験運用する方針です。
日本でも、電気自動車が普及するような研究や開発が進んでほしいです。