つくしと祖父の思い出

  • 追加
  • 3月といえば、小さいころ祖父とよく「つくし」を採ったことを思い出します。

    皆さんは、つくしという植物についてはどれほどご存じでしょうか?
    正式名称は「スギナ」といい、薄茶色で、てっぺんには胞子をもった穂が一つ付いていて、かわいらしい外見をしています。
    これが成長すると、緑色の細い茎が途中から生えてきて、全く違った植物のようになります。
    一般的には、薄茶色の段階のものをつくしと呼び、緑色になったものをスギナと呼びます。
    「スギナ」は食用になりませんが、つくしは食用になります。

    私は小学生のころ、土のいい匂いがする3月ごろになると、よく祖父と山につくしを採りに行っていました。
    「根っこのほうからしっかり取るんぞ。」
    そう言って祖父はつくしの取り方を教えてくれました。
    私はつくし取りが大好きで、たくさん見つけた日には何百本と取り、ビニール袋に詰めて持って帰っていました。
    今では山に行くこと自体抵抗があるのですが、その時はとてもとても楽しかった記憶があります。
    全然見つけられない日もあり、そんな日はとてもがっかりしていました。
    時期を間違えると、すべて成長した「スギナ」になってしまっていることもありました。
    そういうとき祖父は「全部スギナになってしもとる。これはあかんわ」といって、残念そうにしていました。

    つくしがたくさんとれた日は、祖母に「卵とじ」にしてもらっていました。
    今思えば、胞子だらけの野草を食べるのは抵抗がありますが、
    そのときは自分が採ったということもあり、喜んで食べていました。

    中学校にあがったころにはすっかり、山に行くこともなくなりました。
    祖父も益々老いていき、一緒に出掛けることも少なくなりました。
    高校を卒業して上京した後はもう、祖父にろくに連絡もせず、つくしも全く見かけなくなりました。
    そして祖父は1年前に亡くなり、つくし採りは本当に遠い遠い思い出になってしまいました。

    今も、3月下旬の土のいい匂いがし始めると、祖父といったつくし採りのことを思い出します。
    祖父の注いでくれた愛情に、きちんと御礼が言えないうちに祖父は亡くなってしまいました。
    当たり前のように祖父と一緒に出掛け、無邪気につくしを採って楽しんでいたこと。
    祖父はいつも私を見守り、可愛がってくれたこと。
    大切な思い出として、一生忘れないで行こうと思います。




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