酉は竜より強い 沖縄の古い民話に学ぶ
朝礼ネタ1106 2021/01/01 故事ことわざ年末年始酉年といえば鶏ですが、いつも思い出すお話があります。
沖縄の古い民話の中に「竜は絶対に鶏を襲わない」というものです。
正しい題名は忘れてしまいましたが、小さいころに読んで覚えているお話のひとつです。
あるお医者さんのところに「耳が痛くて眠れない」という患者がやってきます。
調べてみると耳の中に大きなムカデが入っていました。
お医者さんは「こんなことは普通じゃない。この人は人間じゃないな。」と思います。
そこで、「あなたの本当の姿を現したら治療してあげましょう。」と言うのです。
そうすると目の前の患者がたちまち竜の姿になりました。
泣きながら「耳が痛くて眠れない」と訴える竜を哀れに思ったお医者さんは、竜の耳の中に一羽の鶏を入れてやります。
鶏はムカデを追いかけまわして捕まえて食べてしまいました。
耳の痛みがすっかりなくなった竜は鶏にとても感謝し、それ以来「絶対に鶏を襲わない」ということになったそうです。
昔の船乗りたちの間には「海が荒れたら東の空に向かってコケコッコーと鳴くと海が鎮まる」という言い伝えがあるそうです。
海が荒れるのは竜が暴れるから、だから恩義のある鶏の乗っている船を沈めないために竜が治まるのです。
こういうお話でした。
竜といえば成功と権力の象徴のように思われています。
一方、鶏は、といえば「弱虫」とか「つまらない人物」を表す動物のように扱われています。
ところがこのお話では強くて立派な竜が小さな鶏に「助けられる」のです。
私も含めて人はみんな「成功している立派な人」に注目します。
でもどんな人だって自分だけでは成功できません。
たくさんの「普通の人」に助けられていることを忘れてはならないと思います。
酉年を迎えて、常に「誰かに支えてもらっている」ことに感謝しながら今年も精進したいと考えています。