自分と向き合う

  • 追加
  • 中島敦の小説、『山月記』を知っている人はいるでしょうか。
    短い小説で学校の教科書でも使われていることがあるため、知っている人もいるかもしれません。

    この物語の主人公は李徴という中国の青年で、秀才として有名で当時のエリートである官吏にもなった人物でした。
    しかし、彼は官吏になるだけでは満足できず、詩人として名を残そうと官吏を辞めて詩作に没頭します。
    といはいえ、彼の名は上がらず、ついには生活に困窮し今まで蔑んでいた同期の官吏にまで侮られてしまいます。

    そんな中で彼は発狂して行方不明となり、親友の袁?に再会した時には何と虎になってしまっていました。
    彼は、天才であるという自尊心、失敗を恐れる羞恥心、何より詩作への努力の足りなさに苛まれ、遂には虎の姿になってしまった、と告げます。
    最期は自分の意識がなくなる直前、親友の袁?に自分の詩を記録するよう頼み、遂には意識までも完全に虎になってしまいます。

    この小説を読み、李徴の顛末を見たとき、私はどきりとさせられました。
    詩人を目指した李徴のように、何かに挑戦する時には必ず「失敗したくない」「惨めな姿を見られたくない」「精一杯頑張ったんだからもう十分だ」という気持ちが付きまといます。

    焦る気持ちとは裏腹に、努力の成果がなかなか出ず経済的に困窮することもきっとあるでしょう。

    ですが、そうした逆風を乗り越え、何より自分自身の弱い心を乗り越えないことには真の成功は手に入れられないのではないでしょうか。
    自分自身の弱い心というのは、それこそ虎のように手強いものです。
    そして、自分の中にいるからこそ、他人の助けを求めるにも限界があります。

    私たちの心の中には、常に私たち自身に牙をむく虎が住んでいるのです。
    この虎から逃げずにしっかり向き合い、打ち負かしたりうまく手なずけることができれば、本当の成功とより良い人生へ近づけるのではないかと感じています。
    もしかしたら虎に打ち勝っても結果は失敗だったり、成果が伴わないこともあるかもしれません。

    しかし、そうした努力は決して無駄にはならず、目に見える形、目に見えない形で私たちの中で活きていきます。
    思わぬところで失敗の経験が役に立つかもしれません。

    心の中の虎に負けぬよう、今日も仕事に励んでいきたいと思います。

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